太陽光発電システムの比較ポイントは変換効率
■太陽光発電システムにおける変換効率とは
太陽光発電のシステムを検討するときに出てくるワードの1つに変換効率というものが挙げられます。変換効率は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換できる割合を示したものです。この割合に関しては%で示され、太陽光エネルギーのうち電気エネルギーに変換できるのが何%かという指針を出すことになるのです。この割合が高ければその分より多くの太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換できていることになり、より効率が高いということになるわけです。変換効率を算出するには、太陽電池モジュール1平方センチメートルに照射された太陽光のエネルギーと、それによって出力される電気エネルギーを考える必要があります。式としては、出力した電気エネルギー÷照射された太陽光エネルギー×100とします。出力した電気エネルギーが10Wだったとして、照射された太陽光エネルギーが100Wだったとすると、そのシステムの変換効率は10%です。
太陽光発電システムは、太陽電池セルを複数つなぎ合わせて1枚の太陽電池セルを作りますが、このセル1枚当たりの変換効率を見る場合とモジュール1枚当たりの変換効率を見る場合があります。太陽電池モジュールはセルを接続する際の回路が影響します。そのためモジュール変換効率は、セル変換効率より下がりますが、一般的に用いられるのはモジュール変換効率の方です。そのモジュール変換効率の相場は10~20%とされています。この数字はモジュールの素材や構造によって異なり、例えばシリコン系の製品の中で比較すると単結晶シリコン系が最も変換効率がよいと言われています。これだけで単結晶シリコン系がよいとは言い切れず、メーカーの製品によっても差異はあるため、製品を比較することをおすすめします。
■3種類の太陽電池を比較
太陽電池モジュールは主に3種類の素材で作られています。まずは前述のシリコン系、そして化合物系と有機系となります。シリコン系はその性質によって単結晶・多結晶・薄膜に分かれ、一番変換効率がいいのは前述にもあったとおり単結晶のものです。化合物系は比較的安価な銅やインジウム、ガリウムなどの化合物を使用しており、変換効率はシリコン系よりも多少劣るとされています。ただしさらなる向上に向けての開発が期待されています。
有機系はベンゼン・チオフェンといった有機物を使ったもので、この3種類の中では1番低コストが期待される素材です。ただし変換効率や耐久性などを研究している段階で、実用にはもう少しかかりそうです。これらの太陽電池の開発について重要なのは、変換効率をいかに上げるかという点です。いずれの素材でも理論上では高い変換効率を示しても、製品にすることで若干下がってしまうという一面があります。
その原因の1つとして、物質の結晶体において電子が存在できない領域を指すバンドギャップがネックとなります。このバンドギャップが小さければ電子が多く存在できるため、変換効率は高くなるわけです。バンドギャップの問題を改善するために、バンドギャップが1つである単接合型ではなく、異なったバンドギャップを持った物質を組み合わせた多接合型の太陽電池が注目されます。さらに変換効率の高い高効率変換素子と呼ばれる物質自体を開発する動きも進められています。
その他、太陽光の中でも赤外線領域と紫外線領域では変換効率が異なり、紫外線領域の方が高い変換効率を示します。こうした太陽光エネルギーの有効利用の観点からもさらに変換効率の高い太陽電池の開発が求められているのです。
■変換効率のよい太陽光発電システムを選ぼう
このように、太陽電池にはタイプがあり、変換効率についてもそれぞれに違いがあることがわかります。太陽光発電システムを導入するに当たって、使用されている素材を見ることは1つの指針となり、比較的変換効率の高いシリコン系を選ぶのは1つの目安となります。しかし同じ素材を使用していても変換効率はメーカーによっても違いがあるため、数社の製品をよく比較するのがよいでしょう。
変換効率が高いということは、小さなスペースでより多くの電気を産出できるということです。太陽光発電システムは大掛かりなものになりますが、このスペースをより小さくすることでコストもかからずスッキリさせることが可能となります。変換効率が高いシステムは、効率よく電気を産出できるだけではなく省スペースにもつながるのです。小さな屋根に設置しても多くの電気を産出できるシステムを選べば、太陽光発電に対するハードルはさらに下がるはずです。
また各メーカーともさらなる変換効率の向上に向けて開発を進めています。導入を検討しているときから実際に導入を決めるまでの間に、さらに性能のよい製品が発売されている可能性もあるのです。そのため、メーカーのリリース情報はこまめにチェックしておくことをおすすめします。メーカー各社の製品情報や見積もりなどをよく比較して、最も効率的に電気を産出するシステムを選びましょう。
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